2003.12.31.(水)      そしてようやく大晦日

「パピ! パピっ! おそーじ終ったぞ! 出てこーいっ」
「ホントでちか…?」(←恐る恐るふすまの陰から顔をのぞかせるパピ。どうやら掃除機の音が怖くて隠れていたらしい)
「うん、もう全部終り。だから安心してこっちおいで。お茶淹れるから」
「ホントのホントに、もう掃除機かけないでちか…?」(←やってはきたもののいまだ警戒心丸出し<笑)
「やんないやんないっ。もう、あんたってばとんでもなく疑り深いねぇ。…ってか、どーしてそう掃除機怖がるわけ? いつか納戸の掃除したとき、朝から晩まで掃除機かけてたらストレスたまって腹こわしたこともあるし。雷とかは全然気にしないのにさ」
「だってだってっ!! 雷様ならお空の遠くで鳴ってるから目に見えないでしょ! なのに掃除機はボクのすぐ目の前ですごい音立てながら動くんでちよ! ときどき追っかけてくることもあるし…」
「それはあんたがわざわざ掃除機の進路を妨害するからでしょーが。…でもまぁ、掃除機はともかく、今年もいろいろあったよねぇ」
「ホントでちねぇ」
 とここで、しみじみ茶をすする二人…もとい、一人と一匹。
「あんたってば、ノミにもたかられたし年下の美少年チワワちゃんに押し倒されかけたこともあったし、それから…」
「やめてよママ! ノミはママがお薬つけるの忘れてたからでしょ! それに押し倒されかけたって…あれはあの子がまだ小さくて、そーゆー『大人の事情』を知らなかったからでち! ボクだって、好みは完全にノーマルなんでちから、そんな誤解を招くようなこと言わないでちょうだいでち! 大体、どーしてボクのことばっかり出てくるんでちか? ママにだって重大ニュースの一つや二つあったんでしょ!?」
「えー? あたしの重大ニュースってったらそりゃ、何といってもこのサイト開いたことだよ。去年の今頃なんて、まさか自分がサイト開いちゃうなんて思ってもいなかったからねぇ…(遠い目)」
「あ、確かにこのサイト開設は最大の出来事でちたね。ボクも『案内人』をやることになって、勤労青年…じゃなかった、勤労わんこになりまちたし」
「年中無休の24時間営業だからパピも大変だったよね。お疲れ様」
「いえいえ。お客様みんなに可愛がってもらえてボクは嬉しいでちよ。ときどき、掲示板でも遊んでもらえるもん」
「サイト開いて五ヶ月半で5000件以上のアクセスがあったんだもんねー。ありがたいありがたい(…と、手を合わせる管理人。最近とみに信心深くなったようである<老化現象か?)。」
「これもみんな、遊びに来てくださる皆様のおかげでち」



 …と、いうわけで。



 このサイトにいつもお越しくださいます皆様方、本年中は大変お世話になりどうもありがとうございました。下らない妄想話ばかり書き散らしている管理人と、仕事そっちのけで皆様と遊びたがってばかりいる案内人ではございますが、今後も皆様方に楽しんでいただけるよう精一杯努力致しますので、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


どうぞ、よいお年をお迎え下さいませ―

                                                      
管理人&案内人



2003.12.25.(木)      サルにまみれたクリスマス

 世間様では華やかにお祝いされているクリスマス。しかし管理人はひたすら地味に質素に―よーするに、いつもと変わりなく過ごしたのだった。
 いいんだもんねー。管理人は別にキリスト教徒じゃないもん。何てったって父方は神道で母方は浄土真宗、そして本人は元バイト巫女だったりするんだから、西洋のお祝い事なんて関係ないもんねー…じゃなくて。

 暮れのこんなクソ忙しいときにのんびりクリスマスなんて祝ってられっかよ。

 …てなわけで、今管理人の周囲にはサルが散乱している。ここでピンと来たあなたは鋭い! そう、管理人はただ今年賀状書きの真っ最中だったりするのであります。
 年賀状といってももっぱらここ数年はパソコン様任せ、人間のやることはほとんどないのだが、それでもそこに入れるイラストだけはしっかり自分で描くのが管理人にとっての意地なのである(何に対する意地なのかはこの際置いといて下さい…<どうやら古傷に触るらしい)。今年も一応描きましたさ、来年の干支のおサルさん。しかしこれが微妙といえば微妙な出来で…参考にした水墨画の本では「ぼかし」をうまく使って、小猿の毛皮の柔らかさをこの上なく写実的に表現してあったのに。ああ、あったのに。
 それを真似して描いたものの、どうしてもうまくいかない。まぁ、やはり水墨画といえば和紙使ってんだろうし…それを無理矢理いつものイラスト用のミ○ーズマットサンダース紙で代用したんだから、この計画には根本から無理があったんだけどさ。おまけに顔の部分をちょいと頑張りすぎたみたいで、気がつけばそこはかとなく、おサルの頭がマッシュルームカット。

 マッシュルームカットのサル(<シャレになんねーぞ、オイ)

 だが今から描き直しなんかしてたひにゃ、清々しき初春の朝になんか間に合いっこないのは火を見るよりも明らか。こーなったらもう、頭がキノコだろうがレイアウトが平々凡々だろうがこのまま出すしかない(管理人、こういう状況での決断は早いです<根性なしとも言う)。
 てなわけで。今度はパソコン様に加えプリンタ様のお力を借り、セコセコ印刷に励むことに致しましょう…。

 ―そして今夜も、遅くまで管理人の周囲にはサルが舞い飛ぶことになるのであった。…ああ、おサルが一匹、おサルが二匹…。



 …はぁ。始まりまちたね。年末の恒例行事。それにちても毎年毎年どうちてこう同じことで切羽詰って焦りまくってるんでしょうねぇ。一体何年人間やってるんでしょう。これだから学習能力のない人間…いや、生き物というのは始末におえないでち(<ため息をつきつつ、自分はさっさとベッドにもぐりこむ案内人)。
  ↑
 がたがたうるせぇぞワン公! これでも会社員時代よりは相当マシになったんでぃっ!!!(<ここ数日の寝不足でかなりキレやすくなっている管理人。ちなみに会社員時代は大晦日までに年賀状が出せればオンの字、大抵は元旦、祝い酒をひっかけながら丸一日かけて書いていたものでございました…<最低) 



2003.12.13.(土)      冬の幸福

 今だからこそ言えるのだが、実は去年の冬、管理人はちょっぴり不幸だったりしたのだった。…別に不幸といっても、恋人と別れたとか離婚したとか勤め先の会社が倒産しちゃったとか病気や怪我をしたとかなんて深刻なものではないのだが、それでもやはり、悲しいことには違いがなくて…。

 今にして思えば、その兆しは去年の夏頃から管理人の生活に忍び寄ってきていたような気がする。そう、毎日の平凡な日常の中にひっそりと…。

 意外に思われるかもしれないが、管理人は結構スーパーマーケットに行くのが好きである。特によく行くのが近所のSスーパーとMスーパー。Sスーパーはかなり大きくて品揃えも豊富、海外の珍しい食材やスパイス、環境に優しいせっけん成分100%の洗剤やシャンプーなどもたくさん売っているのでもう、見て歩くだけで楽しい。ただし、値段は少々高いけど…それに、いかに豪華な食材が揃っていようとも管理人の料理の腕ではそんなものを使いこなせるはずもなく、結局はさんざん迷った挙句にお風呂用洗剤一個だけ買ってすごすごと帰ってきたりもするんだけど…。
 もう一方のMスーパーははるかに庶民的である。店舗は小さく、品物もごく常識的なものしか売ってなかったりするけど、毎日のお買い物ならここで充分。それに、家からも近いしその上値段も安かったりするとなればこちらもやはり捨てがたい。てなわけで管理人、この二つのスーパーをそのときどきの気分と財布の中身によって上手に…もとい、適当に使いわけているのだが。

 最初に気づいたのはSスーパーでのことだった。今日は久しぶりに、好物のアレを食べようかな〜。なんていそいそとお店に入り、野菜売り場にまっしぐら。おお、あるある(はあと)。オバサンの好きなアレが棚に山積み! さぁ、どれにしようと嬉しい迷いを感じつつ品物を選びながら、ふと落ちた視線の先にあった値札を見た途端、管理人の心は凍りついてしまったのであった。だって、そこに書いてあった文字は…っ!

 カリフラワー大特価 一個398円

 ちょちょちょちょちょちょちょ、ちょっと待ていっ!!! 何でカリフラワー一個が398円もするんだよっ! それって、10の位どころか1の位で四捨五入したって400円だってことじゃないかっ! いやそりゃここのカリフラワー、どれもこれも健康優良児の美男美女揃い、品質は申し分ないと思うけど…ついでに、少人数の管理人ちならこれ一個で2日か3日は食いつなげるけど…。

 よりにもよって一個400円の野菜なんて誰が買うかよケンカ売っとんのかコラ!!

 管理人が、すぐさま手にしたカリフラワーを棚の中につっこみ、野菜売り場をあとにしたことは言うまでもない。でもって、その日の晩御飯は一個158円のお豆腐と100g132円の豚挽肉で作った麻婆豆腐、そして買い置いてあったきゅうりときくらげの中華風和え物で済ませたのだが、怒りの炎は一晩たっても治まりゃしねぇ。そこで次の日はMスーパーで雪辱戦と決め込んだのであった。
 何てったってこっちは庶民の味方、値段だってSスーパーに比べりゃ2〜3割は安いもんね。よし、今日こそ安くて美味しいカリフラワーを食べるぞっっっ!!

 なのに。ああそれなのにそれなのに。

 Mスーパーにも同じく山積みになっていたカリフラワーには、「一個358円」という値札がしっかりと貼りついていたのであった…。いやそりゃ、確かにSスーパーに比べりゃ安いけどさ。でもやっぱ…ためらっちゃうよ、その値段じゃ(<貧乏人)。ああ、Mスーパーよ、お前もか…。

 だが、そのときふと気がついた管理人。
(そーだ! カリフラワーの旬って確か冬だったはず…今はまだ、夏の終わりじゃん。そっかぁ。考えてみりゃ高くて当たり前なんだぁ)
 ふと隣を見れば、同じく冬野菜であるはずのブロッコリー(←実は管理人、これもかなり好き)もほぼ同額の値段で売られている。
 …ま、そーゆーことじゃしゃぁねーわな。ここはひとまず冬を待とう。やっぱ、魚でも野菜でも旬のものが一番安いし、美味しいもんね〜。
 かくして、ころりと機嫌を治した管理人は、その後ただひたすらに冬を待ったのであった。

 しかしまたまた、ああそれなのにそれなのに。

 待てど暮らせどカリフラワー相場は一向に下がる気配がない。というよりむしろ、連日高値更新してたりなんかして。ああ、この勢いがもし株式相場にあったなら、日本の不景気なんか一気に吹っ飛ばすことができるのに…ちったぁ連日底値更新してる日○225平均でも見習えっつーんだよこのっ!
 しかし、野菜相手に○経225平均や株式相場をいくら語ったところでどーなるわけもない。そこで仕方なく、売りが入って…じゃねぇ、旬に入って相場が下落したブロッコリーを食いまくり、せめてもの心の慰めにしているうちにいつしか冬は過ぎ、また春が来て夏が来て。気がつけばすでに秋もどこかに行ってしまい、またまた冬がやってきているではありませんか。

 もう、最近じゃどっちのスーパーに行ってもカリフラワーの棚なんざ見る気にもならず、しおしおと行過ぎるだけだった管理人が、ふとしたはずみで目にしたSスーパーの野菜売り場、とある棚。―おおっ!!
 何とそこにはっっっ!! 去年以上に健康優良児、っつーよりほとんど肥満体といっていいくらい立派なカリフラワー様が山積みにっ! しかもそこについている値段は348円っ! おまけにあまりにでかすぎる所為か半分こにして売っているものまであって、その値段は178円だぁぁぁぁっ!!
 まだまだ旬の走り、それも値段が高いSスーパーでこれなら、今年の冬は期待できるぞぉぉぉぉぉっ!!!

 ちなみに本日行ったMスーパーでは大きいのと小っちゃいのと両方売っておりまして…お値段は298円と248円でございました。ああ、一年間待った甲斐があった…っ! ついつい、口元に浮かぶ微笑。

 うわーっはっはっはっはっはっ!!! 見よ、くぉれこそが正しいカリフラワーの値段なのだあああぁぁぁっ!!!(←スカール様風…ってか、コレ全然微笑じゃねぇよ>自分)

 おかげさまで今年は大好物のカリフラワーのからし醤油漬けが心ゆくまで食べられそうです。ああこれも日頃のご信心のおかげ、神様仏様のご利益ってなもんでございます。ありがたやありがたや(←いきなりバーサン)。

 しかし、去年のあの大暴騰は一体何だったのであろうか。別に、カリフラワーが特に不作だったなんてニュース、TVでも新聞でも見た覚えないのになぁ。…はっ! まさか…っ!! もしかしてアレは管理人の頭に回ったアルコールが見せた幻覚なんてんじゃないだろなっ!
 いや、いくら管理人でもさすがに朝酒昼酒は飲まないし、酒が切れると手が震えるなんてこともないし…でもでもアタシ、朝はかなりの確率で二日酔いだったりするし、ヘタするとそれが午前中一杯抜けないことも…なんて生活を学生時代から送ってたりするんだっけ…うわあああぁぁぁ…っ(<狂乱)!!!



 はいはいはい。ママはもういいでちから、少し向こうで休んできなさい(と言いつつレッドカードで管理人を無理矢理追い払う案内人)。
 …いつものことながら大変失礼致しまちた。全く、日記書きながらいちいちパニックっててどーすんでちか。あ、でももしかしたらこれこそ、脳ミソがアルコール漬けになってる証拠かもしれないなぁ。実はボクもね、本当にこのままこの人間に飼われてていいものかどうか、夜中にふと不安になることがあるんでちよ。でもやっぱり、「バカな飼い主ほど可愛い」って言いますし…しょーがない。まだ当分はここんちの飼い犬をやっていてあげましょうかねぇ…。




 その後、管理人が上記の案内人のコメントを読み、その優しさに号泣したことは言うまでもない(しかし、犬に同情されてボランティアで飼い犬やってもらってる人間っつーのもどーよ>自分)。



2003.11.14.(金)      君の昔を〜管理人の場合〜

 今回UPした「君の昔を 3」の中に「大学紛争華やかなりし時代にはゲバ棒振り回してさんざん警察に手を焼かせたクチ」というバーのマスターが出てくる。学生運動なんて、今の若い方々にとっては明治維新とか太平洋戦争なんかと同じ「歴史上の出来事」としか認識できないだろうけど、実は管理人には、そのときの記憶がうっすらとではあるが確かにあったりするのだった(←やっぱオバサンだし)。
 何しろ管理人の幼稚園時から小学校入学前後にかけてはゲバルト学生さんたちがかなり頑張っていて(それとも、消え行くローソクの最後の輝きだったのだろうか)、デモ隊と機動隊衝突のニュースは半ばTVのレギュラー番組と化してたもんなー(遠い目)。かの有名な東大安田講堂陥落の様子も見たような記憶があるのが怖い。
 とはいえまだ幼稚園児の管理人に安保だの反体制主義なんぞがわかるわけもなく、ほとんどドラマを見ているのと同じノリで、ぼんやり口を開けたまま「観る」というより「眺めてた」ばかりだったのだが―。

 ある日、いつものように派手な乱闘を繰り広げている学生さんとお巡りさんの映像を見ながら、幼児はふと、隣にいた祖母に尋ねたのであった。
「ねぇ、お祖母ちゃん。どうしてこの人たちケンカしてるの?」
「学校がね、授業料を値上げするって言うから学生たちが怒ってるんだよ」(←いやもちろん、祖母はもっとわかりやすく言ってくれたのだが)
 …そこで考え込む幼児。
 現在からは想像もつかんことだが、当時、学生といえば貧乏と相場が決まっていた。いたいけな子供にさえ、それは半ば常識として刷り込まれていた事実だったのである。だもんで、「貧乏な人からお金を取る」学校というものが何だかすごく悪い存在に思えてしまったのだな、これが。
 だから、素直にこう言った。
「ふぅん。ひどいね。それじゃ、お金払えない人が可哀想だね」
 すると祖母はぎょっとしたような目で管理人を見つめ、しばし絶句。そして、沈黙の果てにたった一言。
「お前は共産党員だっ!」

 今にして思えばもろに差別発言である(日本共産党員の皆様には深くお詫び申し上げます)。だが、何しろ祖母は明治の女。お国や警察、そして学校に逆らうことなど滅相もないと教育され、あえてその禁忌に挑戦する共産主義者や社会主義者などというものは国賊として排斥されるのが当たり前、という時代の中で育ってきたのだった。大逆事件だの治安維持法成立だのレッドパージだのを目の当たりにしてきた庶民にはやはり、革新勢力や反体制思想に対する偏見を捨て去ることはかなり難しいことだったと思し召して、どうか、許してやって下さい〜っ(土下座)。
 そんな祖母からすれば、まだスカートの下からパンツがはみ出しているようなガキがよりにもよって学校や機動隊、ひいては国家を非難するような言葉をぬかしたという事実にびっくり仰天してしまったのだろう。きっとそれは祖母に限らず、当時の爺ちゃん婆ちゃんにとっては当然の反応だったと思われる。だが…だがしかしっ!

 頼むからわずか四歳の幼な子の支持政党を勝手に決めんでくればーちゃん(涙)。

 小学生になってからも、まだまだ学生さんたちは頑張っていたようで―。
 特に当時管理人が住んでいたのは東京都新宿区(←今は別のところに住んでるから区名まで出しても差し支えはあるまい)、歩いて五分の新宿通りではその頃でもなお、学生さんとお巡りさんが何かにつけて大乱闘を繰り広げていたらしい。一度、管理人が祖母に連れられてデパートに出かけた日の夕方、例によって起きた大衝突、いまだ帰ってこない実母と娘を心配した母が大通りまで様子を見に行ったら、催涙弾の流れ弾がすぐ近くに落ちたとかで涙をボロボロこぼしながら帰ってきたこともあったくらいだし(ちなみに祖母と孫はいち早くその情報を察し、さっさとタクシーで帰ってきてしまっていた<鬼)。

 毎朝学校に行くときなんか、道路一面にきらきら光る小さな石がたくさん転がってるのね。朝日に照らされてダイヤモンドのように七色に輝くそれは本当に綺麗でさー…できることなら全部拾って、大事に大事にとっておきたかった。しかしちょうどその頃、朝のTVで「旧ゼロ」の再々放送だか再々々放送だかをやってたりして。毎朝遅刻寸前のぎりぎりまでブラウン管にへばりつき、挙句の果てには母に怒鳴りつけられ、家を叩き出されていた管理人がそんなことしてたら遅刻間違いなし。後ろ髪をひかれる思いで振り返り振り返り、ランドセルをしょった一年生は必死に学校へと走る、というのがほとんど毎日のお約束だったのよ。
 その綺麗な石が、角材持った学生さんたちに叩き壊されたパトカーのウィンドウガラスの破片だと知ったのは、火炎瓶投げつけられて黒焦げになった車体がしっかりと通学路を塞いでいた、とある日のことなのであった…。

 こんな情勢だったから学校もかなり神経質になっててね。何か事件が起こりそうなときは放課後のお遊びタイムなんか即中止、授業が終わると同時に家へと追い立てられるのが当たり前だった。ごくまれには、午後の授業まで打ち切りになることもあって(ラッキー…って、違うぞ>自分)、給食食べ終わると同時に下校命令。でも、勉強しなくていいんだから子供は喜んでおうちに帰る。そして横切るのはいつものごとく新宿通り。
 ふと見れば、完全武装した機動隊のおじさんたちが某Y見付交差点に集合していたりするではないか。しかも、その中から「りーみんちゃん!」と声をかけてくれたお兄ちゃんが一人。うわ、いつも遊んでくれる駅前交番のお巡りさんだ。わーいっ。(←どうやら応援に駆り出されたらしい)。
 すっかり嬉しくなって「お兄ちゃん!」と駆け寄る管理人。だが、お兄ちゃんは何だか、えらく怖い顔をして―。
「どうしたの、こんな時間にっ! 学校は!?」
「あのね、何だかわかんないけど『危ないから早く帰りなさい』って言われたの」
「そうか…。でもね、ここも今ちょっと、危ないんだよ。だから、遠くてもぐるっとまわっておうちへお帰り。いいね!」
 真剣な表情でそう言ってくれたお巡りさんのおにーちゃん。…でも、ごめんなさいごめんなさいぃぃぃ…っ!!!
 当時の管理人はまだ小学校一年生でした。もの知らずのガキでした。だから…だからだからだからあああ〜っ!!!

 「ぐるっとまわって」家に帰れという、貴方の言葉の意味がわかんなかったんですぅぅぅーっ(号泣)。

 ちょっと悩んだ末に、よりにもよってその場でくるりと一回転し(三べん回ってワン<爆)、「じゃあね、お兄ちゃん!」と危険地帯へと走り去る小学生を見送る警察官の気持ちはどんなであっただろうか(涙)。だが、機動隊の応援に来ている以上、勝手な行動などとれるわけもない。
「りーみんちゃん! りーみんちゃんっ!」
 背後から追いかけてくるお兄ちゃんの絶叫が、今も聞こえてくるような気がする…(だからそれは単にアンタがバカだっただけ>自分)。

 …お兄ちゃん。あのときは貴方の言葉の意味がわからずにご心配をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。おかげさまであのバカなガキんちょは危ない目になどこれっぽっちも遭うことなく家にたどり着き、その後もだらだらと生き長らえて今では立派な(でもないか)オバサンになっております。
 今となってはお礼もお詫びも申し上げることができません。でも、あのとき必死に私を引き止めて下さった貴方には心の底から感謝しております。ありがとうございました。



 あの頃は、反体制派も元気だった…。



 おりしも先の総選挙では社民共産勢力が大きく後退し、政局は自民民主の二大政党化への道をひた走っている。だが国会という、国の行く末を左右しかねない場においてはできるだけたくさんの、さまざまな意見を持つ政党に参加してもらい、あらゆる立場及び観点からとことんまで議論をしつくしてほしいと思うのはオバサンだけなんだろうか。



2003.10.20.(月)      お知らせとお詫び

 えと。皆様方、すみません。そろそろ次の更新をしようかと思っていた管理人でございますが、次回の更新、少し(というかかなり?)遅れます。  申し訳ございません〜っ!!!

 何故かと言えば、この次「真澄鏡」に載っけようとしていたイラスト、「荒療治」アクションフィギュア第一弾、周お嬢様(←すでにjui様には掲載許可とりつけ済み)…四日かけて描き上げて、あとは最後の仕上げだけ〜♪(踊)という状態になったところでドク○ーマーチンピグメント・アクリル系顔料カラーインク85Kフレンチピーチ(要するに耐水性の肌色だ)をイラストの上に思いっきりぶちまけてしまったからでございます(顔面蒼白になりつつ激爆)。

 何と言っても耐水性。何と言ってもアクリル系不透明インク。ついでに速乾性とくれば、水洗い(いや別に洗濯するわけじゃなくて、水彩画で失敗したところをごまかすための一技法なんですけどね)かけようが何しようが、どうにもなりゃしねぇ。
 なので。これから丸ごと全部、描き直します(再度激爆しつつ号泣)。可及的速やかに対処するつもりではおりますが、何しろ管理人にとってもかなりの衝撃、立ち直るのに一日二日はかかりそうな…。だってだって、イラスト描き始めてン十年、こんなアホなドジ踏んだの初めてなんだもん〜っ!!
 ああ、やっぱトシかしら。人間、老化とともに手足の自由が効かなくなるって言うしねぇ…それにしても、よりにもよってどうしてここまで来て…っ!!

 これ以上書くとどこまで愚痴が続くかわからないので、管理人、今夜はこれから平ゼロのサントラ盤聞きながら酒かっくらって寝ます。明日になれば少しは気分が変わっているかもしれません。…まあ、遅くとも今週末には復活して描き直し分をUPする所存でございますので何卒ご容赦下さいませ(平伏っ)。



2003.10.15.(水)      我が家で一番高貴なお方

 昨日、管理人宅で一大プロジェクトが行われた。それはすなわち納戸の整理。何しろ、今の家に引っ越してきてから十年余、一度も片づけてなかったもんな、この納戸。…だったらここは一つ、腰を据えて徹底的にやらねばなるまい…てなわけで、今回は管理人だけでなくその実母、さらには叔母と従妹も応援に加わり、女ばかり総勢四人のプロジェクトチームが組まれ、午後一杯を費やして段ボール箱およそ五、六個分のガラクタを処分することに成功したのであった。

 …で。そのとき家にいた唯一の男性、すなわち案内人はどうしていたかというと。

 放ったらかし。

 しかもこのプロジェクトチーム、棚の奥から山のように出てきた木箱(花瓶や器が入っていたものらしいが、もうどれに何が入っていたんだかわかりゃしねぇ)をトンカチで叩き壊すわ(だってそうしないと余計ゴミがかさばるんだもん)、わけのわからない金属製の長持ちは引っ張り出してくるわ(外の物置に移そうとしたんだよ)、掃除機はがんがんかけまくるわ(床が汚れちゃってねぇ)…大きな音、特に金属がぶつかり合う音が大嫌いな彼にとって相当のストレスだったであろうことは容易に想像できる。
 しかも、応援に来てくれた従妹と案内人は初対面。うちの案内人は決して人嫌いな犬じゃないんだが、腐ってもパピヨンのはしくれ。神経の繊細さとプライドの高さにおいては他の追随を許さない犬種である(…要するに「扱いにくいワン公」ってことだけどさ)。片づけの間中、自分のベッドで不貞寝を決め込んでいたものの、夕暮れ近くになってやおらくんくんと抗議の声を上げ始めた。
(あれ、まだ散歩の時間には早いのに…)
 そうは思ったものの、午後一杯放ったらかしにしておいたことで多少良心の呵責を感じていた管理人、片づけも一段落したことだし、ちょっと早めの散歩に連れて行ってやることにした。運悪く雨が降り始めていたので犬用コートも着せ、さあ、お外だよ〜。
 玄関のドアを開けた途端、まっしぐらに飛び出した案内人。いつも雨降りのときにはいやいや出て行くのに…そーかそーか、そんなに構ってほしかったのか…つい、ほろりとしてしまった飼い主など知ったこっちゃないとばかりにダッシュで某ポイントへ。そう、そこは「お取り込みポイント」。すなわち、わんこちゃんたちがお散歩の途中で(大きい方の)用を足す場所であります。早速、いつもの態勢に入った案内人。そして、飼い主の方はティッシュだのビニール袋だのをお散歩袋の間からごそごそと取り出し、すべてが終わるのを待っていたならば。
 何と、出てきたものは。

 下痢。しかも血便。(←お食事中の方に陳謝致します)

 きゃあああああぁぁぁぁっ!!! えええええ、えらいこっちゃあああぁぁぁっ!!! …管理人、大パニック。
 慌てて家へと取って返し、濡れたコートを脱がせ、身体を拭いてやる間ももどかしく、まだ半乾きの犬をキャリーバッグに押し込み、財布とお散歩袋だけ持って。ついでに、片づけ終わってお茶を飲みつつくつろいでいたプロジェクトチームの面々に「パパパパ、パピがお腹こわしたあああっ!!」とだけ言い置いて、車飛ばして獣医さんに駆け込んださ。

 診断は「大腸炎」。ただ、原因に思い当たることが何もない。唯一の心当たりといえば今日のストレスのみ。
 「ストレス…ねぇ。あり得ないことではありませんが、大抵は他に何か原因があるはずなんですよ」って獣医さんはおっしゃったけど。
 ついでに、管理人のエサのやり方に関する過保護ぶりに一しきりのお説教もくらったけど。
 それでも管理人、やはり原因はあのストレスだったのではないかという疑いを捨てきれない。

 でも、まぁね。こんなんなっちゃったからには、原因よりも治療が大事。結局案内人はその日一日の絶食を言い渡され、今日も朝から病人食…もとい、病犬食で過ごしました。ただし皆様、ご安心下さいませ。おかげさまで下痢も無事止まり、明日の朝はとりあえず病犬食としても、夜からはぼちぼち普通食に切り替えるつもりでおります。

 それにしても…たかが半日のストレスで(←すでに決めつけ)腹をこわすとは何という繊細さ、もろさ。管理人なんか、若い頃仕事のストレスで7〜8kg体重落ちたことあったけど、それでも消化器系はぴんぴんしてたっていうのによ。さすが純血種。さすが血統書つき! …考えてみれば、うちの家族で血統書ついてる奴なんか他に一人もいないもんな〜(←普通、人間に血統書はつきません)。
 三年半前、こいつが我が家にやってきてから密かにささやかれていた噂…「あの家で一番お育ちがいいのはパピちゃんよね〜」。これは案外真実なのかもしれないと、ついつい考えてしまった管理人であった。



 …ママ…。お言葉を返すようでちが、別にボクはお坊ちゃまでも王子様でもありまちぇん。ボクがどうこう言うより、アナタがあまりにも無神経、大雑把、頑丈、傍若無人すぎるんでち…。そう言えば、ボクが口をつけなかった残り物のお肉、「勿体ないから」って、ぺろりと平らげちゃったこともありまちたよね…。その生活態度を悔い改めないと、今度はそっちが病気になりまちよ…。(<まだイマイチ元気がないが、それでも憎まれ口を叩くことだけは忘れないパピ)



2003.10.04.(土)      もう一つの青春

 ご注意:今回のエッセイは「必殺仕事人(特に激闘編)」をご存じない方には何が何だかわからないと思います。…すみません。(管理人)

 実はこれ、先週の話だったりするんだけど(のっけから古ネタかい>自分)。
 先月末、月に一度の案内人のお風呂の日。例によって暇を潰さなくてはならなくなった管理人、ちょっと珍しいところへ足を踏み入れた。
 …それは、パチンコ屋。いや、管理人は普段あんまりパチンコする人じゃないんだが、その日たまたまお店の真ん前に新台キャンペーンポスターが貼ってあってさー。…何と、「必殺仕事人激闘編」などと書いてあるではありませんか!!

 ああ、蘇る青春の日々。実は管理人、かつては「009」以外にもいろんなところで若い血を燃え上がらせておりまして、「必殺仕事人」もしっかりそのうちの一つだったりするんだな、これが。小学生の頃から、眠い目をこすりつつずーっと観続けて幾星霜…。しかも「激闘編」(!)ちゅーたらその長い歴史の中でも一番管理人が燃えた、いや萌えたシリーズじゃないかいっっっ!! だってアレってば、藤田まことさん扮する中村主水さんの渋さは言うに及ばず、仲間たちがみんなえー男ぞろいでのぅ…何てったって、村上弘明さん扮する「鍛冶屋の政」と京本政樹さん扮する「組紐屋の竜」ですよ、アナタ! 特に竜さんには、管理人萌えた萌えた(←昔からメンクイ、細身の女顔好き)。毎週土曜夜十時には何があってもTVの前に陣取り、鼻血噴くのを必死にこらえながら至福の世界にどっぷり浸かった一時間。大学の授業中、友達のA子ちゃんと待ち合わせしてそのまま教室を抜け出し(←こらこらこらっ!)、二人して劇場版観に映画館へ走ったこともあったよな…(遠い目)。
 その「激闘編」がパチンコになってるぅぅぅ〜!? こりゃもう、やるしかないじゃんか。

 かくて管理人、いそいそとパチンコ屋の中へ。

 一歩中へ入った途端、耳をつんざく大騒音。パチンコ玉の「チーン、ジャラジャラ」という例の音に加え、各台のBGMだのパチスロの効果音だの、それだけで頭がくらくらしてきました。しかし、そんなことでめげちゃおれん。早速「激闘編」台の前に陣取れば、おお…ゲーム前の画面は昔懐かしいあのナレーションですか。目頭が熱くなってくるのを感じつつ、いざ開始!
 うわぁ〜っ! のっけから田中様と主水さんのアニメが出てくるぅ〜っ。しかもこの台、結構スロットも回るじゃないかい。ラッキー。よし、早速リーチかかったぞ、そら行けっ! …と思った瞬間。

 ふごおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!!!(←鼻血)

 何この台っ!! リーチになると政さんのアニメが出てくるじゃないよおおおっ! しかもBGMはTV放映時の主題歌、それもおなじみのトランペットのファンファーレつきってどういうことっ!? うわっ、今度は主水さんのアニメがっ! …てことは竜さんのもあるってか? おーし、それ見ないうちはオバサン、死んでも死に切れんわっ!

 理性も金も、すべて捨てさせていただきますっ!

 気がつけば管理人の目はらんらんと血走り、手の中には千円札が束で握りしめられていた。しかも、BGMにあわせて主題歌まで熱唱してたとくれば完璧な狂人。そして、その狂気をあおるかのように回り続けるスロット、鳴り響くトランペット、あふれる玉…。
 そして、ついに出たっ! 竜さんアニメ! おお…しかもそれが、大当たりだあああぁぁぁっ!!
 たちまち開きっぱなしのチューリップ、加速がついて流れ出す銀玉。だが、正直管理人にはそんなこと、どうでもよかった。だって…大当たりの間中、中央画面に映し出されていたTV版の名場面っ!! おおおっ! 主水さんだ、政さんだ、そして…竜さんじゃあああぁぁぁぁっ!!
 かくて一回目の大当たり終了後、箱一杯になったパチンコ玉を新たな元手に、管理人はますます壊れていったのであった。

 あれ? 今度は当たってもいないのに何やらイベント画面が。なになに、「開始マークが出たらボタンを押して下さい」? 点目になって画面を見つめているうちに、出てきたのは主水さん、政さん、竜さんの名前。それが、ぐるぐるぐると回転し始めた。…そうか。これはきっと三人の名前がルーレットのようになっているということだな。だったら絶対竜さん当てなきゃ…えいっ!
 だが、残念ながら当たったのは政さんだった。そして今度は政さんONLYの名場面集。そりゃオバサン、政さんも大好きだし、それはそれですごく嬉しかったんだけどさ…。それでもやっぱり、できれば竜さんを…仕方ないわ。また一から出直しよっ! などとほざいているうちに隣の台に座っていたねいちゃん…いや、娘さんの台にも現れたイベント画面。十秒ほどの待ち時間の後、ボタンを押した娘さん。ほれ、ぽちっとな。
 そしたら…出た。竜さああああああぁぁぁ…んっっっ!!! ああ、出るわ出るわ、ヨダレもんのスナップショットがあとからあとから…なのに娘さん、そんなものには目もくれず、ひたすらはじき出される玉と目くるめくスロットを凝視し続けている。もちろん、隣から変なオバサンが自分の台を食い入るように見つめていることなど気づいてない。本来なら、それこそが正しいプレイヤーの姿。しかし、狂人にそんな常識求めたってムダよ、ムダ。
(ちょっとそこのねいちゃんっ! 何でそんな冷静に、玉ばっか見てんだよっ! 今画面に流れてるのはなぁ、竜さんファンだったらたとえ何万、いや何十万つぎ込もうが見られただけで寿命が延びる、お宝モンの映像だぞっ! この、バチ当たりがっ!!)
 心の中で娘さんに罵詈讒謗を浴びせ倒しながら、パチンコも無意識のうちに続けていた管理人。そして…。
「あれ? 玉が切れたかな。補給補給」
 しかし、すでに箱の中に残っている玉は一つもなかった。

 そうです。パチンコしにパチンコ屋入って、勝負とは何の関係もないBGMや画像に狂いまくった挙句、大当たりで稼いだ箱一杯分の出玉を一粒残らずすってしまったバカはこの私でございます。…ああ、だけどあんな映像が見られたんだからもういいわ。

 わが青春に悔いなしっっっ!!(←天然記念物バカ)



 全くもう…ボクがお風呂に入っている間に今回はこんなことやってたんでちね。でも、人は皆こんな些細なきっかけからギャンブル地獄に陥り、やがては貯金も生活費もすべて、ギャンブルに注ぎ込むようになるんだとか。…ねぇママっ! ママの食費ならいいでちけどね、お願いでちからボクのゴハン代までパチンコにつぎ込んだりしないでよっ!!!(大丈夫だ。まだそこまでは行っちゃいないから安心しろ>パピ)



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